こんなに好きなのに、何でこんなコトするのかな。
ちゃんとお互い想い合った上でなきゃ駄目なのに、何でこんなコト出来ちゃうのかな。

「・・っ、幕之内・・・?」

ほら宮田くんビックリしてるじゃないか。
今ならまだ冗談で済むよ。

「・・・・・退けよ」

君はあっけなくボクに組み敷かれちゃったね。
ボクの手に伝わる君の抵抗、抗えば抗うほど何だか楽しいんだけど?

「退けって!!」

何故だかこの行為がヒトゴトのようで。


「聞いてるのか、幕之内!」

宮田くん怒ってるよ?
無理やり押さえつけてもダメだよ。
嫌われちゃうよ。ほら、放さないと・・・・・・・・・・・放す?


どくん。

僕の鼓動が大きく一つ。

「・・・くっ!・・このっ・・・!!」

無駄だよ宮田くん。力でボクに勝てるワケないじゃないか。
そんな目で睨まれても、どうにも抑えられそうにないんだ。

「・・・ごめんね、宮田くん」

「そう思うなら・・・・っ」

僕は何度も触れた事のある唇に、自分の唇を押し付けた。
重なった瞬間ガリッと音と共に痛みが走った。

「痛っ・・・・酷いな宮田くん。キスなんて何度もしてるじゃない?」

噛まれた下唇がジンジンする。

「好きだよ、宮田くん」

滲む血を舌先で舐める。

「・・・お前・・・・」

どくんどくん。

更に鼓動が大きく、速く。

「大好きだよ」

ボクの中の何かはもう止められそうにないよ。
何でだろう、笑みが出てくる。
可笑しいよね、この状態が楽しいと思っちゃうなんて。
間違ってるて分かってるんだよ?
でも止められそうにないよ。

どくんどくんどくん。

じんわりと唇に血が滲む感覚。
それと共にどす黒い何かが確実に表面に浮き出てきた。

ボクはそれに忠実に従うのみ。



まずは白い首筋に血の刻印を押し付けた。



end


『いつかはくる衝動』